三日月に菊酒を
category: つれづれ
肌寒くて、長袖で過ごす日がつづいています。
いま、二十四節気は「白露」、
七十二候は「草露白(くさのつゆしろし)」となり、
朝晩の気温が急速に下がり、草に降りた露が白く光るように見える頃。ですが、
朝晩の気温どころか、
昼間も、気温が上がらないままですね。
まるで、一か月くらい、
早く季節が進んでしまったようです。
猛暑から一気に飛び越えたのが、
すこしだけ、残念。
秋の気配が少しずつしのび寄る、
あの夏のおわりの感じが好き、なんです。
せつなさ。
甘やかな寂しさ。
郷愁。
蜩の声を聴きながら
ゆく夏を惜しむ感覚が。
いろいろ、いろいろ、
いつも通りではない夏。でした。
胸騒ぎがしずまることもないまま、
秋をながめることになりました。
きょう、9月9日は
「重陽(ちょうよう)の節句」です。
「菊の節句」「後(のち)の雛」
と呼ばれることもある、五節句のひとつです。
中国では、
もっとも縁起のいい数字とされる「九」、
9がふたつ合わさった日に、
厄払いや、長寿の祈願をするようになりました。
とくに、「菊酒」。
不老不死の思想に縁ある菊を浮かべた酒を飲む。
これが平安時代に日本に伝わって、
さまざまな菊にまつわる祭りになっています。
さあ、どうせ秋をながめるなら、
やはりたのしく
愉快にながめましょうか。
今夜は菊酒、とはいきませんが
青菜と菊の花の和え物でも
ささっと作って、
味わいましょうか。
三日月お月さまと、語り合う時間に
一緒に食べてもらいましょうか。
そんなひとつひとつの、
小さなことでも、
厄払いに繋がるのかもしれません。
何もできなかった夏を嘆くより、
不調な自分を憐れむより、
来年の夏に楽しみがつながった。と、
楽しみを持つことの励みを感じましょう。
抱きしめることを忘れてごめんね。と、
頑張る「わたし」を慈しみましょう。
秋をね、清清しくむかえましょう。
どうか、まあるく秋に包まれて。
呼吸をしてね。
愉しい秋を。
佳い9月を。